学校で真面目に勉強してこなかったので、その反動が中年になってから来た。生物や歴史のドキュメンタリー番組を時々見るようになった。こどもの頃に全く興味のなかったので基礎知識がなく、こどもや学生がターゲットになっている、いわゆる教育番組。
生き物の生態の説明の仕方が気になる。例えば「アゲハチョウの幼虫ははじめ黒い色をしています。これは、フンに擬態して外敵から狙われないようにする為です」というもの。アゲハチョウが、まるで忍者が扮装を選ぶみたいに色を変えているみたいな説明。根本的に間違っていて、世界の見え方を歪めている。
アゲハチョウは意思をもって黒くなったのではない。現実に近い説明は「アゲハチョウの幼虫ははじめ黒色をしています。黒い色の個体が多く生き残るので、その子孫も同じ傾向を持つようになったからでしょう。おそらく外敵からフンに見えるので生存確率が高かったのでしょう」だろう。現実は「すべて成りゆき」。それをどうして「意思をもってそうした」と歪めるのだ。
こどもにとってわかりやすい説明、という観点でも違いはない。「アゲハチョウが体の色を自分で選ぶ」と「アゲハチョウのお父さん、お母さんも赤ちゃんの時に黒色だったから、こどもも色が似ている」の理解の難しさにちがいはない。
生き物の歴史に意思はない。「すべては成りゆき」だ。意思をもってどうにもできないことのほうが多いのに、どうしてそれを隠すのだ。意思をもってどうにでもできないのに、生態がうまくできていて環境に順応できたり、何となくいいことがあったりするのが現実じゃないか。